本文へスキップ
中小企業のための税理士・会計メディア 購読無料
ゼイナビ Tax & Accounting Media
メニュー
ノウハウ 相続・事業承継

事業承継の税務の基本|親族内承継で確認したい論点を整理

監修・発行: ゼイナビ編集部 約5分で読めます

「子どもに会社を継がせたいが、税金がどれくらいかかるのか見当がつかない」「何から手を付ければいいのか分からない」。親族内承継を考え始めた経営者の方から、よく聞かれる悩みです。事業承継の税務は、会社の形態や引き継ぐ資産、渡し方によって論点が変わります。この記事では、親族内承継で確認したい税務の論点を、専門用語に説明を添えながら整理します。個別の税額は状況で大きく異なるため、全体像をつかむための入口としてお読みください。

事業承継の税務とは?まず押さえたい全体像

事業承継の税務とは、経営者から後継者へ会社や事業を引き継ぐ際に生じる、税金の取り扱い全般のことです。引き継ぐ対象は大きく次のように分かれます。

  • 会社の株式(法人の場合の経営権にあたるもの)
  • 事業用の土地・建物・設備(個人事業や、会社に貸している資産)
  • 事業用の資金・債権債務(借入金や個人保証を含む)

これらを後継者に移す方法は主に「生前の贈与」「相続」「売買(譲渡)」の3つで、それぞれ関係する税金が異なります。

移し方主に関係する税金特徴
生前贈与贈与税時期を選べるが、評価額によっては負担が大きくなる場合がある
相続相続税亡くなった時点で発生。準備期間が取りにくい
売買(譲渡)譲渡所得に関する税金など対価を受け取る側にも課税が生じる場合がある

どの方法が適しているかは、株式の評価額、親族の人数、後継者の資金力などで変わります。

親族内承継で確認したい主な論点

親族内承継は、後継者が決めやすい一方で、相続人間の公平感や税負担が論点になりやすい形です。確認しておきたい点を挙げます。

  1. 株式・事業用資産の評価額:非上場株式は市場価格がないため、会社の財産や利益などをもとに評価します。この評価額が贈与税・相続税の計算の土台になります。
  2. 後継者以外の相続人への配慮:事業用資産が特定の人に集中すると、他の相続人との間で不公平感が出ることがあります。
  3. 後継者の資金負担:株式を買い取る場合や、税金を納める場合に、資金をどう用意するかを考えておく必要があります。
  4. 経営者の個人保証・借入金:会社の借入に対する個人保証の引き継ぎは、金融機関との調整が関わります。
  5. 役員退職金の扱い:経営者が退任する際の退職金も、会社と個人の双方の税務に関わります。

これらは互いに影響し合うため、一つずつ切り離さず、全体を見て順序を考えることが大切です。

納税猶予など、活用が検討される制度

事業承継では、税負担を軽くする、あるいは納税を先送りする制度が用意されています。代表的なものが「事業承継税制」です。これは、一定の要件を満たした場合に、非上場株式などにかかる贈与税・相続税の納税が猶予(先延ばし)される仕組みです。

ただし、適用には次のような点の確認が必要です。

  • 会社の規模・業種や資産の内容などの要件
  • 後継者側の要件(役員就任、株式の保有など)
  • 計画書の事前提出や、承継後の報告・雇用維持などの継続要件
  • 特例措置には提出期限や適用期限が設けられており、令和8年度税制改正でも見直しの動きがあること

期限や要件は改正で変わる場合があるため、国税庁・中小企業庁などの最新の公式情報で確認することをおすすめします。また、要件を満たさなくなった場合の取り扱いもあるため、利用するかどうかは慎重な判断が求められます。

相談の進め方と準備しておきたいこと

事業承継は、準備に数年かかることも珍しくありません。次の流れで整理すると進めやすくなります。

  1. 会社と経営者個人の資産・負債を一覧にする
  2. 後継者候補と、承継の希望時期について話し合う
  3. 株式の評価額の目安を専門家に確認する
  4. 贈与・相続・売買の方法ごとの税負担を比較する
  5. 制度の活用可否を検討し、必要な計画を作る

相談先としては、税理士のほか、商工会議所や事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的な窓口もあります。税理士に相談する場合は、事業承継の支援実績や、顧問先の業種に近い経験があるかなどを面談で聞いてみるとよいでしょう。

よくある質問

Q1. 事業承継はいつ頃から準備を始めればいいですか?

決まった時期はありませんが、株式評価の見直しや後継者の育成、制度の活用検討には時間がかかるため、引き継ぎたい時期の数年前から情報を集める方が多いようです。

Q2. 生前贈与と相続では、どちらが有利ですか?

資産の内容や家族構成、制度の利用可否によって異なり、一概にどちらが有利とは言えません。複数のパターンで試算してもらうことが判断の助けになります。

Q3. 個人事業主の場合も事業承継の税務は関係しますか?

関係します。個人事業の場合は、事業用の土地・建物・設備などを後継者に移す際の贈与税・相続税や、廃業・開業の手続きが論点になります。個人事業を対象にした納税猶予の制度もありますが、要件は個別に確認が必要です。

Q4. 税理士にはいつ相談するのがよいですか?

方針が固まっていない段階でも相談できます。株式の評価や税負担の見通しを早めに知ることで、選択肢を整理しやすくなります。

まとめ

事業承継の税務は、「何を」「誰に」「どの方法で」引き継ぐかによって論点が変わります。親族内承継では、株式や事業用資産の評価、他の相続人への配慮、後継者の資金負担、納税猶予などの制度の活用可否が主な確認ポイントです。制度の期限や要件は改正で変わる場合があるため、最新の公式情報を確認し、個別の判断は税理士など専門家に相談してください。

まずは、会社と経営者個人の資産・負債を一覧にまとめることから始めてみてください。

出典・参考: 国税庁・中小企業庁の公開情報にもとづく編集部整理(2026年10月時点)

タグ

#事業承継#親族内承継#贈与税#相続税

関連記事